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解決事例

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高次脳機能障害について自賠責で非該当とされたものの、裁判上の和解等で約1,200万円を得た事例

被害者の属性・事故の態様

事故当時,50代の被害者が,自転車で丁字路交差点に設けられている横断歩道上を横断中,左方から右折進行してきた加害者運転の車輛に衝突されて,自転車もろとも路上に転倒し,顔面部をアスファルトにぶつけるなどの傷害を負いました。

依頼までの経緯

被害者は,事故後,記憶障害,注意障害,遂行機能障害,社会的行動障害等の高次脳機能障害特有の症状を発症しましたが,事故直後の意識障害は,本人の見当識障害が軽く,CT,MRIでも,高次脳機能障害を基礎付ける画像所見が認められないとして,後遺障害は14級9号と認定されました。

被害者から高次脳機能障害を理由に異議申し立てをして欲しいと依頼されました。

当事務所の対応

当事務所では,頭部MRI画像による異常所見が認められないことから,当時,札幌市内において高次脳機能障害について研究を進めていた専門医に依頼し,イオマゼニルSPECT及び脳血流SPECTによる検査を依頼した結果,高次脳機能障害を基礎付ける所見が認められるとの診断結果を得ました。

前記診断結果に基づき後遺障害認定等級に対する異議申し立てを自賠責に対し被害者請求しましたが,頭痛,左頚肩部痛,左上肢のしびれについて,第14級9号の後遺障害を認めたのみで,高次脳機能障害については,非該当と判断されました。

そこで,高次脳機能障害を主要な争点として訴訟を提起しました。

得られた結果

被害者は,本件事故による後遺障害のため仕事に就くことができず生活費に困窮していたため,本案と併せて裁判所に対し仮払仮処分を申請し,金約200万円の仮払が認められました。

裁判では,被害者を診断した医師が判断した,イオマゼニルSPECT(スペクト)及び脳血流SPECTによる検査について,医学的な論争となりました。しかし,裁判所は,画像所見がないこと,事故直後の意識障害が不明であること,SPECTは,未だ評価が確立していないことを理由に高次脳機能障害を認めませんでした。しかし,医師の検査結果及び被害者の事故前後における日常生活の変化等から相当額の賠償を認める和解案が提示されました。

本件では,最終的に金約1000万円の支払いを受けることで和解が成立しました。

被害者においては,裁判上の和解により受領した金約1000万円に加えて,訴訟途中での仮払いを含む総合計金約1200万円を受領しました。

解決のポイント

高次脳機能障害について,意識障害や画像所見が認められないために自賠責保険では後遺障害と認められないケースがありますが,専門医の協力を得たうえで,裁判所に提訴すれば認められるケースもあります。

本件では,高次脳機能障害は認められませんでしたが,被害実態をふまえ損害賠償額金の上積みを実現することができました。

自賠責の認定を崩すことは決して安易ではありませんが,裁判手続きの中で本件のように損害額を加算させることができる場合があります。
自賠責で認定されたからといって簡単にあきらめることなく,必ず相談してもらいたいと思います。

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