併合11級の後遺障害が認められ、約900万円の賠償を獲得した事例
状況
被害車両が、左方に脇道のあるT字路交差点を進行していたところ、対向車である加害車両が、速度を落とすことなく上記脇道に右折進入しようとした結果、被害車両の右側に加害車両の前部が衝突した。
過失割合
ご依頼時 1.75割
解 決 時 1.5割
診断名
左感音性難聴、末梢性めまい、右膝捻挫、頚椎捻挫、右肩打撲
後遺障害等級
解 決 時 併合11級
解決額
約900万円(その他自賠責保険金330万円)
弁護士からのコメント
1.ご依頼のきっかけ
事故発生の約7か月後、その時点でも事故による症状が残存していたにもかかわらず、相手方保険会社より治療終了の打診がなされたことで、今後の保険会社との交渉等にご不安を抱かれたため、ご依頼いただくこととなりました。
2.弊所の活動及びその結果
⑴ 治療期間の延長
ご依頼者様には、上記のとおり、耳鼻科に係る症状と整形外科に係る症状が残存しており、それぞれ別の病院に通院していました。
当事務所では、まず、相手方保険会社に対し、現在も症状が残存しており、治療終了(症状固定)時期は到来していないことを伝えることと併行し、担当医師より、継続して治療が必要である旨の書面を獲得しました。そして、同書面に基づき相手方保険会社に対し、治療費の支払を継続するよう交渉しました。その結果、耳鼻科についてはご依頼いただいてから約8か月、整形外科については同じく約5か月の治療費の事前支払を認めさせることに成功しました(なお、耳鼻科については、治療費の事前支払終了後も約1年間治療を継続し、最終的な示談交渉において、その支払も認めさせることに成功しました。)。
⑵ 後遺障害等級
その後、ご依頼者様において、各症状が症状固定となった後、当事務所では、医療記録等を精査の上、自賠責に対して後遺障害の申請を行いました。その結果、上記難聴とめまいについて、後遺障害が認定され、両障害を併せて併合11級との認定を受けることができました。
⑶ 和解交渉
後遺障害等級の認定後、相手方保険会社に対して、損害額を提示して交渉を行いました。同交渉においては、主に過失割合と後遺障害による逸失利益について争いがありました。
ア 過失割合
まず、過失割合については、相手方保険会社において、物損解決時の過失割合を前提として主張を行ってきていました。しかし、当事務所では、刑事記録を取得し、関連裁判例調査の上、相手方と粘り強く交渉を行った結果、物損解決時よりも過失割合を減じることに成功しました。
イ 逸失利益
また、逸失利益について、相手方保険会社は、当初、耳鳴りとめまいの症状では、一般的に11級の等級で定められている症状とは相違するものであることを理由として、低額な金額を提示しました。しかしながら、ご依頼者様においては、耳鳴りとめまいの症状が強く残存しており、実生活での不都合はもちろんのこと、(現在は家事従事者であるが)将来的な復職が困難になったことを、陳述書を作成の上、前職での業務内容の裏付けとなるご依頼者様の各種資格とともに、相手方に送付し、繰り返し交渉を行った結果、当初提示額の1.5倍以上の金額で、和解することに成功しました。
3.解決のポイント
今回の事故では、治療期間、過失割合、後遺障害における逸失利益など、その争いは多岐にわたるものでした。
治療期間については、保険会社において、一定の期間が経過すると、被害者に対して治療の終了を打診することがあります。被害者としては、交通事故に係る知識で優位にある保険会社からの打診があると、それが正しいものであるとして、受け入れてしまう方も少なくありません。治療終了時期については、本来、将来的な治療の効果の有無という判断であり、医学的な知見、特に主治医の意見が重要となります。今回の事故では、主治医の協力が得られたことで、相手方保険会社との交渉を優位に進めることができました。
また、過失割合や後遺障害についても、保険会社と争いになることは少なくありません。
交通事故に関して、もしお悩みをお持ちでしたら、是非一度ご相談ください。
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