【慰謝料】
慰謝料とは、事故の被害者が受けた精神的な苦痛(被害者の感じる苦痛や不快感)に対する賠償のことをいいます。 慰謝料には、入通院を余儀なくされたことに対する慰謝料(傷害慰謝料)、後遺障害が残ってしまったことに対する慰謝料(後遺障害慰謝料)及び死亡してしまったことに対する慰謝料(死亡慰謝料)があります。 なお、被害者が事故により死亡してしまった場合や、被害者が負った障害の程度が生命侵害の場合(死亡した場合)に並ぶほどの精神上の苦痛を受けた場合は、被害者本人のみならず近親者も自己の権利として、加害者に対して慰謝料を請求することができます(近親者慰謝料)。
【傷害慰謝料の算定方法】
傷害慰謝料の金額は、事故の態様、傷害の内容・程度、治療経過、被害者の業務や生活に生じた現実の不都合等の種々の事情を総合的に考慮して判断されます。 もっとも、訴訟においては、被害者間の公平・説得性、迅速処理の必要性、裁判官によって差が生じることの防止、被害者加害者双方の予測可能性という点を考慮し、傷害慰謝料の金額の認定判断に当たり、入通院期間に応じて一定の類型化が図られています。すなわち、入通院期間に応じて、一定の基準額が定められており、裁判においては同基準額をベースに慰謝料額が算定されるケースがほとんどです。 同基準額をベースとしつつ、以下に記載するような事情が存在する場合には、慰謝料の額が一定程度増減されるケースも見られます。
* 慰謝料算定に当たっての被害者側の事情(一例)
① 被害者の傷害の部位・程度・治癒に至る経過
② 残存症状の有無
③ 被害者の年齢・性別・学歴・職業・既婚未婚の別・社会的地位など
* 慰謝料算定に当たっての加害者側の事情(一例)
① 加害者の過失の程度
② 事故発生当時や事故発生後における加害者の対応
※なお、後遺障害慰謝料・死亡慰謝料については、別の考慮要素が存在します。